Take A Wild Guess

also known as 銀幕漂流記

日本の黒い夏 [冤enzai罪]


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日本の黒い夏 [冤enzai罪] [DVD]

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2000年/日本映画/119mins
監督:脚本:熊井啓
原作:平石耕一
出演:中井貴一/寺尾聰/細川直美

平石耕一の戯曲「NEWS NEWS −テレビは何を伝えたか−」(東京芸術座公演)を原作に得て、熊井監督自らが脚本を書き上げた意欲作なのだが、まるで小学校の時に見せられた道徳ビデオを見ているようで何とも古臭い。

「巨匠」、という肩書きだけは立派だが、結局時代に取り残された監督に一体何を期待したのだろうか?安全牌であるはずの「巨匠」を起用し大失敗してしまうところに日本映画界がいかに崩壊しているかが見て取れる。明らかに終わった監督にこのように最高級の素材を提供した時点でこの映画の惨めな結果は明らかであった。もっと現在を生きる、感性の豊かな監督に任せてもらいたかった。こんな時代遅れの感性は、古典を撮る時にしか通用しない。

高校生のドキュメンタリー製作という視点から物語が語られていくのだが、彼らがテレビ局を取材する画完全に無用だった。無駄なシーン、台詞が多すぎて、緊張感がまったくないのもこの作品が失敗した原因だろう。加えて、お抱え俳優と思われる男性のTV局員二人は素人にも劣る演技で見るに耐えない酷いものであった。

当時報道各社が流した本物のニュース映像がないのはとても残念だった。もっとマスコミの傲慢という罪を断罪すべき映画であるはずなのに、どうも腰が引け過ぎていてこの作品を制作した意図がまったく理解できなかった。松本サリン事件も地下鉄サリン事件も、日本人が振り返らなければならない過去のはずなので、改めて他の監督に撮ってもらいたい。

ということで、カット、カット。

日本の黒い夏 [冤enzai罪] [DVD]

日本の黒い夏 [冤enzai罪] [DVD]

  • 出版社/メーカー: 日活
  • 発売日: 2001/11/22