Take A Wild Guess

also known as 銀幕漂流記

シモーヌ


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シモーヌ(字幕版)

自分のサイトを修正していたら、ガタカの監督の新作が「シモーヌ」であることを知り、思わずTSUTAYAで借りてしまいました。

素晴らしい映像美を随所で見せてくれるので、やはりこの監督はセンスいいな、と感心しきり。しょっぱなのタランスキー監督がジェリービーンズを選り分けているシーン、すごく好きだなあ。

いきなり痛烈なハリウッド批判が展開されていて、それがすごく面白い。けど監督が何言っても、有名女優のわがままとかパトロンである製作会社の横暴さに対抗できるわけがないのです。まあハリウッドでは製作会社が一番偉くて、監督なんていくらでもいるわけだから、タランスキーのようなlittle known directorが、ハリウッドで映画を撮れること自体が不思議なんだよな。でも、その辺は元妻が製作サイドにいるから納得してくれということか。

タランスキー監督一人でシモーヌ全てを操作するのはかなり無理があって、後半に進むにつれて、それがどんどん露呈していってしまうのはいただけない。ハンクに初めて会った時に、俺はコンピュータに詳しくない、みたいなこと言ってるんだから、あんなに上手くコンピュータを扱えるのはおかしい。だからコンピューターオタクの娘がいつか関わってくるんだろうと思っていたら、最後までタランスキー一人であら不思議。結局は娘が助けてくれるんだけど・・・。

さて、コンサートシーンで、シモーヌにわざわざ一曲歌わせてしまったのは、よほどあのコンサート会場でのシーンの出来が良かったのか。かなりいらないシーンだと思うのだけど、長くひっぱってくれましたね。それと、船着場でタランスキーが人間の死体が入るくらいのボックスを運んでいる所を監視カメラが録画してるんだけど、それを観客にわざわざ教えるのはどうしてだろう?あの監視カメラを映したら、観客がシモーヌの死体を捨てに行くと世間に誤解されるタランスキーを想像するのは明らかなんだから、あのカットはいらないよな。タランスキーがいきなり逮捕されて、監視カメラの映像を見せられる。それで十分。しかし、死体がなかったら殺人罪で起訴するのって不可能なんじゃなかったかなあ。よくわからんけど、昔テレビでそんなこと言ってた気がする。

まとめ。シリアスな「ガタカ」と違って、「トゥルーマン・ショー」の延長線上にあるのがこの作品なんだけど、根本的に扱っているのは誰かが誰かを騙しているということ。一人を騙すより大衆を騙すほうがたやすい、なんてナチスの思想じゃないですか。シニカルだねえ。まあシニカルな作品の中にも笑いがあったり、家族愛があったりしていいんだけど、少し詰めすぎている感は否めない。それでも、総合的には久々の良作で、かなり楽しむことができました。

といういことで、カット、カット!

シモーヌ(字幕版)

シモーヌ(字幕版)

  • 発売日: 2015/03/15
  • メディア: Prime Video