☆☆☆☆☆
スターの光と陰を描いた作品。陰の部分により多くの光をあて、エヴィータ・ピアフの真実をより忠実に描こうという気迫が感じられる。
売春宿、サーカスで育った彼女には歌しかなかった。大切な人々との哀しい別れを何度も経験した彼女は薬物依存症に陥ってしまう。そして5年間のリハビリを終えパリの「オリンピア劇場」にて復活を遂げるもその人生の幕はもう閉じかけていた。しかし「オリンピア劇場」の神懸かり的なステージは人々の記憶に今も残る素晴らしいものとなったことは想像に難くない。
長時間、ほとんど飽きること無く見続けることができた。とにかく物悲しい、哀愁の漂う作品であり、観ていて何度も泣きそうになる。ハリウッドで作られたらこうはいかない。ハリウッドはとにかく物事の明るい面だけしか見ようとしないバカな人々に支配されているので、情緒とか哀愁とかを描けなくなってしまっているのだ。
ヨーロッパの国々がアメリカと決定的に違う点は、日本と同じように陰の部分をすごく大事にしていることだと思う。余談になるが、この作品を観ていると北野武監督作品がフランスやヨーロッパの各国で強く支持されている理由が良くわかるような気がした。
ぜひ劇場でご覧ください。
『エディット・ピアフ 愛の讃歌』 LA VIE EN ROSE
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